歯医者で行う唾液検査|何が分かる?
皆様こんにちは。
医療法人社団さくらみらい会エンドウ歯科医院院長の遠藤善孝です。
われわれ、お口の専門家である歯科では、虫歯・歯周病を行うことが通常の業務に思われがちですが、最近では予防がいかに健康寿命を延ばし、お口の改善が人生にとって大変重要であることがわかってきました。
国の方針も、歯科国民歯科検診を行う方向で話が進んできています。
われわれは歯の治療だけでなく、そのような予防の観点から唾液検査を行うことをしております。
唾液の採取は本当につばを吐くだけです☆
とても簡便な検査ではあるものの、唾液にはたくさんの情報が含まれているため、いろいろなことを評価できます。今回はそんな歯医者で行う唾液検査で分かることを詳しく解説します。
当院で行っている唾液検査はライオンのSMTというキッドを使って行っています。
当院においてこの唾液検査の導入は革新的なものでして、なんと!!
当院のレセプトコンピューターユーザーの中でエンドウ歯科医院がSMT導入連携をしたことが東京初☆と言われました。
東京といったら日本の最先端のイメージで且つ、お口の健康意識も全国でも高水準と思っていたので、すでに歯科医院では大変意識の高い患者さんが多いイメージ。
そんな都会の中で、まだSMTを導入してない歯科医院がほとんどだったとは・・・。
(SMTに関してはこちらをご覧ください https://lionpro.lionshop.jp/check/)
東京の医療機関でこの程度だとは、日本の歯科予防に関して、世界水準からすると大きく劣っているなと、医療従事者として恥ずかしくなりました。
逆に言うともっとこの歯科予防システムをエンドウ歯科医院が推進していかなくてはいけないなと感じました。
当院では、二日に一度はこのキッドを使用して患者さんが唾液を調べられています。
このキッドでできることを以下に示します。
▼細菌の種類・数
唾液検査では、唾液に含まれる虫歯菌の種類や数をチェックできます。虫歯菌にもいくつか種類があり、感染力の高いものから低いものまでさまざまです。唾液検査によっては、歯周病菌までチェックできるものもありますが異本的にまずはお口の中にどの程度細菌がいるのかを知ることが大変重要です。
歯周病に関しては、歯ぐきの歯周ポケットに存在する細菌を見極め治療方針を練ることも行っております。
歯周病でお困りの際は、SMTの唾液の検査のみでは特定できない、ペリオアナリーズをご紹介しますので、一度ご相談ください。
ペリオアナリーズはSMTと異なりその場ですぐに結果が出るものではありません。
オランダにその歯周ポケット内の浸出液を送って2週間ほどして書類として郵送されてきます。
先日の患者さんはまだ若干30歳なのに歯周病菌最悪とも言われるA.a菌が検出され早期に歯を支える骨が失われていく細菌のため早急に歯周病治療に取り掛かりました。
ぶっちゃけ、大丈夫でしょって思っていたので、ペリオアナリーズをする必要すら疑いましたが、本人の危機管理能力の高さにお口の健康が救われたなと、冷や汗をかきました。
このように保険診療では特段軽度の歯周病と診断されていても細菌の種類によっては早く歯周病治療に介入しないと骨が溶けて行ってしまうこともありますのでこのSMT・ペリオアナリーズは当院のお口の健康バロメーターとして大変重要なアイテムです。
▼唾液の緩衝能・酸性度
唾液の緩衝能(かんしょうのう)は、酸性に傾いた口内環境を中性に引き戻す能力です。酸性度は高ければ高いほど、虫歯のリスクも上昇していることを意味します。
先ほどご説明した細菌の数がたくさんいたとしても、この緩衝能が高ければ細菌は活動を活発化することができずにいます。
酸性度に関しては、虫歯との関連が高く臨界pH5.5を下回ると歯が溶けます。
緩衝能が高い唾液をお持ちの方は酸性度は比較的高くでるので虫歯になりづらい能力をもっていると考えてよいでしょう。
▼タンパク質の量
唾液中のタンパク質の量が増えていると、歯周病のリスクが上昇していることを意味します。歯周病を発症している場合もタンパク質量が増加する傾向にあります。
たんぱく質がお口に流失しているということは、歯ぐきの組織コラーゲンたんぱくが流失(分解されている)可能性が高いのです。
このケースにおいて先ほどお伝えしたペリオアナリーズは効果を発揮します。
ペリオアナリーズで検査ができるのは
A.a(アガリガチバクター・アクチノマイステムコミタンス)
P.g(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
T.f(タンネレラ・フォーサイシア)
T.d(トレポネーマ・デンティコーラ)
P.i(プレボテラ・インターメディア)
P.m(パルビモナス・ミクラ)
F.n(フソバクテリウム・ニュークレアタム)
C.r(カンピロバクター・レクタス)
E.c(エイケレナ・コロデンス)
C.a(カンジダ・アルビカンス)
です。
ここは細かいところなのでいつかまた解説いたしますね(^^)/
実はこの色も大変重要なんです☆
▼アンモニアの量
アンモニアは、お口の中がどれくらい汚れているかを評価する際の指標となります。アンモニアの量が多いほど、口腔衛生状態が低下をしていることを意味します。
男性も女性も気になるところは一番はココなんです( ´∀` )
▼まとめ
このように、唾液検査は細かな項目に別れており、お口の中の状態を詳しくチェックすることが可能です。
唾液検査の結果で、さらにペリオアナリーズを進める場合もございます。
そしてわかったことを参考にして、日々の口腔ケア用品の選び方が変わってきます!!
まずは自分自身のお口の中の敵を知り、それに合った歯科材料(歯周病用の歯磨き粉なのか虫歯よりの歯磨き粉なのかなど)をより一層深く考え一緒に退治できるよう頑張っていきましょう。