歯を失う原因は何?健康な歯を維持するために大切なことも解説
こんにちは。渋谷区本町、京王線「幡ヶ谷駅」より徒歩10分にある歯医者「エンドウ歯科医院」です。
歯を失うのではないかと不安を感じていませんか。歯を失う原因にはいくつかあります。一度失った歯は自然に元に戻ることはなく、入れ歯やブリッジ、インプラントといった補綴治療が必要になります。
そこで本記事では、歯を失う主な原因と、健康な歯を長く保つために意識すべき点を解説します。今ある歯を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
歯を失う主な原因
なぜ歯を失うのか理由が気になっている方も多いでしょう。以下に、歯を失う主な原因を解説します。
歯周病
歯を失う最大の原因として挙げられるのが歯周病です。35歳以上の成人の歯を失う理由の約40%以上を歯周病が占めています。
歯周病は歯茎や歯を支える骨に炎症が起こる疾患で、初期段階では自覚症状が少ないケースがほとんどです。そのため、気が付いたときには重度の状態にまで進行していることも少なくありません。
歯周病の進行過程では、まず歯肉炎から始まります。歯と歯茎の境目に細菌が繁殖し、歯茎が腫れたり出血したりする状態です。この段階で適切な治療をおこなえば改善が期待できますが、放置すると歯周炎へと進行していきます。
歯周炎になると歯を支える骨が溶け始め、歯がグラグラと動くようになります。歯周病の主な症状には、歯茎からの出血、口臭の悪化、歯茎の腫れ、歯の動揺などがあります。口の中のネバネバ感も歯周病の初期のサインです。
虫歯
虫歯も歯を失う原因のひとつです。虫歯は口の中の細菌が糖分を分解する際に産生する酸によって、歯が溶かされる疾患です。初期の虫歯であれば治療により歯を保存できますが、進行すると、最悪の場合には抜歯が必要になります。
虫歯は、エナメル質の脱灰から始まり、象牙質、そして歯髄という順序で進んでいきます。虫歯が歯髄まで達すると激しい痛みを伴うことが多く、根管治療が必要となります。
ただし、虫歯によって歯の大部分が溶かされて歯の根の先に大きな病変ができた場合には、残念ながら抜歯が選択されます。そのため、歯を残すためには、初期の段階で虫歯を発見し、早期に治療を受けることが大切なのです。
破折
スポーツ中の事故や転倒、交通事故などによって歯を失うこともあります。特に前歯が突出していると、衝撃により歯が折れたり、完全に抜け落ちたりすることも珍しくありません。また、強い衝撃により歯の根が折れた場合も、残念ながら抜歯が必要になることがあります。
破折による歯の損失は、完全に防ぐことは困難でしょう。
しかし、スポーツをする際にはマウスピースを着用するなど、リスクを軽減する対策を取ることで歯を守ることができます。
歯を失ったときに考えられるリスク
歯を失っても、そのままで問題ないと考えてはいませんか。歯がない期間が長くなると、さまざまなリスクが生じる可能性があります。以下に、歯を失ったときに考えられるリスクをご紹介します。
咀嚼機能の低下
歯を失うことで影響を受けるのが咀嚼機能です。歯を失うと、食べ物をしっかりと噛み砕くことができなくなるでしょう。
食べ物を細かく噛み砕くことが難しくなると、消化器官への負担が増加し栄養の吸収効率が低下します。また、硬い食材や繊維質の多い野菜などを避けるようになり、食事内容が偏る方も少なくありません。
咀嚼機能の低下は全身の健康状態にも大きな影響を与えます。十分に噛むことができない状態が続くと、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの必要な栄養素が不足する可能性があります。
その結果、免疫力の低下や筋力の減少、骨密度の低下などが起こり、全身の健康維持が困難になるでしょう。
また、よく噛むことは唾液の分泌を促進し、口の中を清潔な状態に保つ役割も果たしています。咀嚼の回数が少なくなると唾液の分泌量が減り、口腔内の細菌が繁殖して、残っている歯が虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
食事の際はできるだけ多く噛むことを意識し、義歯などの補綴治療により咀嚼機能の回復を図ることが重要になるでしょう。
発音・会話への影響
歯は発音において重要な役割を担っています。特に前歯は、音を正確に発音するために不可欠で、失うと発音が不明瞭になるケースが多いです。発音の問題は、日常会話やコミュニケーションに支障をきたし、社会生活にも大きな影響を与える可能性があります。
発音障害は自信の喪失にもつながります。人前で話すことや積極的なコミュニケーションを避けるようになり、社会的な孤立感を感じる方も少なくありません。職業上、人との会話が重要な方にとっては、キャリアに影響を及ぼす深刻な問題にもなるでしょう。
発音機能は、適切な補綴治療により改善が可能です。入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの選択肢があります。歯科医師と相談し、個人の状況に合った治療法を選択することで、発音機能の回復と快適な日常生活を維持できるでしょう。
審美的な問題と心理的影響
歯を失うことは見た目にも大きな影響を与えます。なかでも前歯を失った場合は、笑ったときや会話をするときに歯がない部分が目立ち、外見上の問題となるでしょう。審美的な問題は自尊心の低下や社会的な不安を引き起こす原因にもなります。
見た目の変化は心理的な影響も与えます。口元を手で隠すような行動が無意識のうちに増える方も少なくありません。
また、歯を失うと顔貌が変化することがあります。歯は顔の下半分の形を支える重要な役割を果たしており、多数の歯を失うと頬がこけたように見えたり、口周りのしわが増えたりすることがあります。実年齢よりも老けて見え、心理的な負担を増大させる可能性もあるでしょう。
残存歯への負担
歯を失うと、残っている歯に負担がかかります。残存歯に過度な負担がかかると、摩耗したり、歯根破折が起こったりするリスクが高まります。
また、歯を失うと隣接する歯が空いたスペースに向かって傾斜移動することがあります。結果として、噛み合わせのバランスが崩れて顎関節症などの問題を引き起こす可能性もあるでしょう。
さらに、歯並びの変化により清掃が困難になり、虫歯や歯周病になるリスクも高まります。連鎖的な問題を防ぐためにも、歯を失った際は速やかに適切な治療を受けることが重要です。
歯を失う方が多い年齢
厚生労働省の調査結果によると、成人が歯を失い始めるのは一般的に40代からとされています。以下の表は、年代別に見た歯の平均喪失歯数を表したものです。
<1人平均喪失歯数(永久歯:15歳以上)>
年齢階級(歳) | 1人平均喪失歯数(本) |
---|---|
15〜19 | 0.0 |
20〜24 | 0.3 |
25〜34 | 0.4 |
35〜44 | 0.6 |
45〜54 | 1.4 |
55〜64 | 3.0 |
65〜74 | 6.0 |
75〜84 | 11.2 |
85〜 | 14.1 |
多くの方が中高年になってから歯を失う現実があることがわかります。40代は歯を失い始める重要な転換点となります。歯周病が本格的に進行し始める時期であり、若いころにかかった歯周病が10年、20年と年月をかけて進行し、中高年になって重症化するケースが多いのが特徴です。
50代以降になると、さらに喪失する歯の本数が増えます。これは、一度進行した歯周病や虫歯の治療が困難になることが影響しています。
引用元:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」
健康な歯を維持するために大切なこと
健康な歯を一生涯維持するためには、総合的なアプローチが必要です。歯を失う原因を理解し、適切な予防策を講じることで、生涯にわたって自分の歯で食事を楽しむことができます。
歯周病・虫歯を予防する
歯周病と虫歯は、歯を失う大きな原因です。歯を失うのを防ぐためには、歯周病や虫歯にならないように日頃から予防する必要があるでしょう。
歯周病や虫歯を予防するためには、毎日の適切な歯磨きが必要不可欠です。歯周病・虫歯は、歯の表面や歯と歯茎の境目に付着するプラークのなかに生息する細菌が原因で発生します。そのため、しっかり歯磨きをしてプラークを除去することが重要です。
1日のうちでいちばん重視すべきタイミングは、夜寝る前の歯磨きです。睡眠中は唾液の分泌量が少なくなるため、細菌が繁殖しやすい環境になります。
歯磨きをする際の力加減も重要です。強すぎる力で歯磨きをすると、歯茎を傷つけたり歯の表面が削れたりする可能性があります。
また、歯ブラシだけでは、歯と歯の間や歯と歯茎の隙間に付着した汚れを落とせません。そのため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的な清掃用具も使用しましょう。
また、日頃から規則正しい生活を心がけることで、細菌に対する抵抗力が増し、歯周病の悪化を防ぐことができるでしょう。
生活習慣を見直す
間食が多い・喫煙習慣がある・ストレスがたまっている方は虫歯や歯周病にかかりやすいとされています。ダラダラ食べや間食が多いと、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなるため、虫歯になるリスクが高くなります。
睡眠不足や偏った食生活、ストレスは身体の免疫力が低下する原因になるでしょう。免疫力が低下した状態が続くと細菌の活動が優勢になるため、口内環境の悪化につながります。
また、喫煙は歯周病の進行を促進させる大きなリスクファクターです。タバコに含まれる成分によって歯茎の血行が悪くなると、免疫力が低下します。これによって、歯周病になるリスクが高まるのです。
定期的に歯科検診を受ける
歯周病は自覚症状を感じにくい病気なので、気づかないうちに症状が悪化していることがあります。そのため、症状がなくても定期的に歯科検診を受けることが不可欠です。早期発見・早期治療により、歯を失うリスクを大幅に減らすことができます。
また、歯科医院で歯石除去やクリーニングを受けることで、ご家庭でのケアだけでは落としきれない汚れを取り除くことができます。これによって、虫歯や歯周病の予防につながるでしょう。
まとめ
歯を失う原因には、虫歯や歯周病、そしてそれらを引き起こす生活習慣やケア不足にあります。歯を失うのを予防するためには、毎日丁寧にブラッシングを行うこと、定期的に歯科検診を受けること、生活習慣を見直すことが重要です。
年齢に関係なく、正しいケアを続けることで歯の健康は維持できます。将来的に歯を失わないためにも、日々の習慣を見直して、できることから始めましょう。
予防歯科を検討されている方は、渋谷区本町、京王線「幡ヶ谷駅」より徒歩10分にある歯医者「エンドウ歯科医院」にお気軽にご相談ください。
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