歯周組織再生療法とは？メリット・デメリットや費用も
こんにちは。渋谷区本町、京王線「幡ヶ谷駅」より徒歩10分にある歯医者「エンドウ歯科医院」です。
歯周病が進行すると、歯を支える歯ぐきや骨などの歯周組織が破壊され、最終的には歯が抜ける恐れがあります。失われた組織は自然には元に戻りませんが、近年では歯周組織再生療法という治療法によって、回復を目指すことが可能になってきました。
この記事では、歯周組織再生療法の基本的な仕組みやメリット・デメリット、費用の目安まで、わかりやすく解説します。
歯周組織再生療法とは
歯周組織再生療法とは、歯周病によって破壊された歯の周囲の骨や歯根膜、セメント質といった歯周組織を再びつくり出すことを目的とした治療法です。重度の歯周病では、これらの組織が失われることで歯がぐらついたり、最終的には抜歯が必要になることもあります。
しかし、再生療法を行うことで歯の保存が期待できます。
＜歯周組織再生療法の種類＞
| 治療法 | 特徴 |
|---|---|
| GTR法 | 歯根周囲に特殊な膜を設置し、不要な組織の侵入を防ぎながら骨の再生を促す方法 |
| エムドゲイン法 | 歯根に特殊な薬剤を塗布し、成長因子の働きで歯周組織の再生を促進する方法 |
| CGF・PRF法 | 患者自身の血液成分を使用し、傷の治癒や骨の再生を自然に促す再生療法 |
いずれも高い専門性が求められる治療であり、歯周病の進行状況や患者さまの体質、口腔内環境に応じて選ばれます。
歯周組織再生療法のメリット
ここでは、歯周組織再生療法の主なメリットについて詳しく解説します。
歯の保存が可能になる
歯周組織再生療法の最も大きなメリットは、重度の歯周病によって抜歯が検討されるような状態でも、歯を残せる可能性が高まる点です。歯がぐらつく原因は、歯を支える骨が減っていることにありますが、再生療法によってその骨を再形成できれば、歯の安定性が取り戻せます。
これにより、抜歯せずに噛む機能や見た目を維持できるため、患者さまにとって身体的・精神的な負担を大きく軽減できます。
噛む力の回復につながる
歯周病が進行すると、歯がぐらついたり痛みが出たりして、食事のたびに不便を感じるようになります。歯周組織が再生されると、歯が再びしっかりと骨に支えられるようになり、噛む力が回復します。
硬いものがしっかり噛めるようになることで食事の満足度が上がり、栄養摂取の面でも好影響が期待できます。噛む力の回復は、単に食べる機能だけでなく、表情や発音にも関わるため、生活の質全体を高める要因になります。
将来的な口腔トラブルの予防につながる
歯周組織が破壊されたまま放置すると、炎症が慢性化し、周囲の健康な歯や歯ぐきにも悪影響を及ぼすことがあります。また、失った歯を放置すると、周囲の歯が傾いたり、噛み合わせが崩れたりするリスクもあります。
再生療法によって歯周組織を回復させることで、口腔内のバランスが保たれ、二次的なトラブルの予防にもつながります。長期的に見ても、歯の寿命を延ばすための有効な手段となるでしょう。
審美性の改善にもつながる
歯周病の進行によって歯ぐきが下がると、歯が長く見えたり、すき間が目立ったりすることがあります。こうした見た目の変化は、口元の印象に大きく影響します。
歯周組織再生療法では、歯ぐきや骨の回復により、歯の根元が再び覆われるようになるため、審美面の改善も期待できます。
補綴治療が不要になる可能性がある
歯を失った場合、インプラントや入れ歯といった補綴治療が検討されますが、これらの治療には時間や費用がかかり、メンテナンスも必要です。歯周組織再生療法によって自分の歯を残すことができれば、人工物に頼ることなく自然な感覚で噛めます。
治療後のケアを継続することで、天然歯の寿命を大きく延ばせるのも大きなメリットです。
歯周組織再生療法のデメリット
ここでは、歯周組織再生療法を検討する際に知っておくべきデメリットについて解説します。
治療の適応に限りがある
歯周組織再生療法は、すべての歯周病の患者さまに行えるわけではありません。たとえば、骨の欠損の形状が不規則な場合や、すでに歯が大きく動いているケースでは、再生療法の効果が期待しにくいです。
特に、水平的に骨が失われているケースでは、使用できる再生材料や術式が限られ、満足のいく結果が得られにくいこともあります。治療前の精密な診断によって、適応可否を慎重に判断する必要があります。
再生が保証されるわけではない
再生療法は、あくまで歯周組織の再生を促す治療であり、必ずしも元の状態にまで回復するとは限りません。使用する材料や個人の体質、口腔内の衛生状態など、さまざまな要因が結果に影響します。
特に、喫煙習慣がある場合や、糖尿病などの全身疾患を抱えている人は治癒能力が低下しやすく、治療効果が十分に得られない可能性があります。そのため、治療後も日常のセルフケアや生活習慣の見直しが重要となります。
手術による身体的・精神的負担がある
歯周組織再生療法は、多くの場合、外科処置を伴います。麻酔下で行われるとはいえ、歯ぐきを切開して再生材料を挿入するため、術後には腫れや痛み、違和感が出ることがあります。
また、治癒までの期間中は食事やブラッシングに制限が出ることもあり、日常生活に一時的な影響を及ぼす点にも注意が必要です。
費用が高額になりやすい
歯周組織再生療法には、保険適用外の材料や治療が含まれることが多く、自由診療となるケースが少なくありません。そのため、一般的な歯周病治療と比較すると費用が高くなる傾向があります。
再生材料の種類や使用量、手術の難易度によっても価格は変動し、治療費が数万円から十万円以上にのぼることもあります。
治療後のメンテナンスが欠かせない
再生療法で得られた結果を長期的に維持するためには、治療後の継続的なケアが欠かせません。定期的な歯科検診やクリーニング、自宅での適切なブラッシングなどが不十分であれば、せっかく再生した組織も再び失われる恐れがあります。
歯周組織再生療法の費用
歯周組織再生療法は基本的に保険適用外の自由診療となるため、治療には一定の費用がかかります。使用する再生材料や施術範囲によって異なりますが、1部位あたりの相場はおおよそ5万円から10万円程度とされています。
これに加え、初診料やメンテナンス費用が別途必要になるケースもあります。
歯周病の進行を防ぐためには
歯周病は、初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行することが多い疾患です。
しかし、適切なケアと予防を行えば、進行を食い止めることは十分に可能です。ここでは、歯周病の進行を防ぐために大切なポイントについて解説します。
正しい歯磨き習慣を身につける
歯周病の原因となるのは、歯と歯ぐきの間にたまるプラーク（歯垢）です。これを毎日の歯磨きでしっかりと取り除くことが、基本かつ最も重要な予防法です。
特に、歯ぐきの境目や歯と歯の間は汚れがたまりやすいため、意識して丁寧に磨くことが求められます。磨き方の癖や力加減によっては、十分に汚れを落とせていないこともあるため、定期的に歯科衛生士から正しいブラッシング指導を受けるとよいでしょう。
デンタルフロスや歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間の清掃には、デンタルフロスや歯間ブラシの使用が効果的です。補助清掃用具を活用することで、プラークの除去率が高まり、歯周病の原因菌の繁殖を抑えられます。
歯間ブラシは、すでに歯ぐきが下がって隙間ができている人に有効で、日々のセルフケアに取り入れることで、再発予防にもつながります。
食生活と生活習慣の見直し
糖質を多く含む食品や間食の頻度が高いと、プラークが形成されやすくなり、歯周病リスクが高まります。バランスの良い食事を心がけ、糖分の摂取を控えることで、口腔内の環境を良好に保てます。
喫煙は歯ぐきの血流を悪化させ、歯周病の進行を早める要因の一つです。喫煙者は非喫煙者に比べて治療効果も得られにくいため、歯周病予防の観点からも禁煙は非常に重要です。
定期的な歯科検診とクリーニング
丁寧にセルフケアを行っていても、完全に歯垢を取り除くことは難しく、少しずつ歯石がたまります。歯石は細菌の温床となり、歯周病の進行を促進させます。
そのため、歯科医院での定期的な検診と専門的なクリーニング（スケーリング）を受けることが不可欠です。一般的には3〜6か月に一度のペースで通院することが推奨されています。
初期症状に気づいたらすぐに受診する
歯ぐきの腫れや出血、口臭の悪化、歯が浮いたような感覚など、歯周病の初期症状が現れた場合は、早めに歯科医院を受診することが大切です。早期発見・早期治療ができれば、大掛かりな治療は不要になることが多く、歯の寿命を大きく延ばせます。
まとめ
歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯槽骨や歯根膜などの歯を支える組織を再生させることを目的とした先進的な治療法です。歯を抜かずに保存できる可能性が高まるほか、噛む力や審美性の回復、将来的な口腔トラブルの予防にもつながります。
一方で、すべての症例に適応できるわけではなく、再生の効果が保証されない、手術による負担や費用の高さといったデメリットも存在します。
費用相場は1部位あたり5万円～10万円程度です。効果を最大限に得るためには、術後のセルフケアや定期的なメンテナンスも欠かせません。
歯周組織再生療法を検討されている方は、渋谷区本町、京王線「幡ヶ谷駅」より徒歩10分にある歯医者「エンドウ歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は「一人ひとりに合った治療計画で歯を守ること」を意識して診療にあたっています。診療案内ページはこちら、ご予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。
